
靴紐(シューレース)はシューズに最初から取り付けられているものを使うことが多いと思います。しかし、あらかじめ使われているものが気に入らない場合もあります。
例えば、
- 脱ぎ・履きを簡単にしたい
- ほどけにくい靴紐にした
- 好みの色に変えたい
このような時、もちろん靴ひもを自分に合ったものに変えたほうが良いのですが、靴ひもの選び方には注意が必要です。
レジャー用途なら見た目や使いやすさだけで選んでもよいのですが、以下のような運動時に使用する場合は、見た目や簡便さだけで選ぶのは避けましょう。
- 走るときに使用する(長距離・短距離ともに)
- ウォーキングなど速足で歩く時に使用する
- 筋力トレーニングなど、トレーニング時に使用する
上記のような運動時は、靴のアッパー、靴ひもには非常に大きな力がかかっており、適さないものを選ぶと運動の効果を発揮しきれない、正しいフォームが作れないといった問題が起きます。
靴ひものタイプとそれぞれの問題点を見ていきましょう。
ゴム製など伸縮性が高いものは避ける

走る・早く歩くといった運動時は接地面やアッパー(シューズの上側)に大きな力がかかります。そのため、足はシューズにしっかりと固定される必要があり、その固定を担っているのが靴ひもです。
しかし伸縮性が高い靴ひもでは十分な固定力が発揮できません。
短距離走の場合、足はおよそ時速70kmもの速度でスイングされており (*1)、長距離走でも足のスイング速度は、およそ時速20~30kmあります。そのため、足の振り上げ時にはシューズのアッパーに強い力がかかっており、固定力が弱いと足がシューズ内部でぶれてしまいます。
さらに、地面をけるときに足が曲がるので、シューズも曲げられます。

2.固定が弱いと、足が屈曲する局面で、足裏が靴底から離れる
このとき、足の移動と曲がる速度にシューズがついてこれないと、靴底が足裏から離れ、力を加えられなくなるので、足がシューズから離れない固定力が求められます。
このようなが大きな力がかかる局面では、伸縮性の靴ひもは伸びてしまいます。手で伸ばせる程度の張力ゆえに簡単にはけるわけで、手で簡単に伸ばせる程度では運動時の足を固定することはできません。

伸縮性が高い靴ひもを使ったシューズは、足首を固定しないサンダルに似ています。サンダルやスリッパでは全力で走れないのは想像しやすいと思います。
さらに、フォームが崩れるリスクもあります。サンダルではシューズと同じようには足を動かせないのは皆さん経験したことがあると思います。これは履物がずれてしまうのを抑えようとするためです。
事実、日常的に大きめの靴を履いていると、靴がずれないように歩くのが癖になり浮き指になりやすいことが知られています。
伸縮タイプの中でも、こぶで留めるタイプの靴ひもは特に避けるべきです。

靴ひもを止める位置がこぶの位置できまっているので、個人の足に最適の位置で固定することができません。使いやすい位置を選ぶと余裕のある位置を選ぶしかなくなるので、固定力がさらに弱くなりがちです。
さらに、こぶがあるせいで、ひもが足の甲に密着する面積が非常に小さく、フィット感・固定力が低いです。
このように、伸縮性が高い靴ひもは、力を出せないだけでなく、フォームが乱れるリスクまであり、運動を前提とする場合はお勧めできません。
結ぶ手間が無いのは便利ですので、力のかからない日常使いのシューズなど、用途を考えて活用しましょう。
留め具式では固定できない

靴ひもにかかる力を調べた研究によると、靴紐にかかる衝撃と加速度は合計7Gにもなることが示されています(*2)。エレベーターの加速でおよそ0.2G、ジェットコースター4G程度、7Gとは人工衛星が大気圏に突入したときと同程度です。
このように大きな力がかかっているので、靴ひもは結んで、前後に動かないよう完全に固定しない限り緩んでしまいます。
留め具で靴ひもを固定して調節を簡単にしてくれる製品がありますが、これらの固定具は内部のバネで靴ひもを押して固定しているだけなので、強い力がかかると靴ひもが動いてしまい、緩んでしまいます。
歩く程度なら留め具式でも問題ありませんが、走る、トレーニングなどで足に強い力がかかる場合は、留め具では力不足です。
こちらも、使うなら運動以外の場面で活用していきましょう。
丸ひもはフィット不足のうえほどけやすい
靴ひもは平たい平ひもと、丸みのある丸ひもがありますが、機能性を見れば平ひもの一択です。

平ひもは、足の甲にあたる部分が平らなので、接地面積が広くフィット感、固定力が高くなります。
さらに、平ひもは結び目で横幅が大きく絞られ変形するため、結び目での摩擦が高くなり、ほどけにくくなります。
一方、丸ひもは足との接地面積が小さく、フィット感が悪くなります。

また、丸ひもは結んだ時の圧力がひもの外周全体に分散され、結び目の摩擦が弱く、ほどけやすいです。
ほどけやすいというのは、手間がかかるだけでなく、転倒のリスクが高まり危険です。
革靴のようにアッパーが硬く、ひもが短いシューズなら丸ひもでも問題ありませんが、スニーカーなど運動向けのシューズでは避けたほうが良いです。
伸縮性の低い平ひもが一番

結論として、伸縮性が低い平ひもを使い、結んで固定するのが機能性・安全性の面で最良です。
伸縮性が低い*平ひもは、スニーカーでは最も一般的なタイプですが、よく使われるのには相応の理由があるのです(*ひもは編んでいるため、ゴムでなくても若干の伸縮性があります)。
靴ひもの表面を樹脂加工することで、よりほどけにくくした高機能平ひもも販売されていますので、そういったものなら、積極的に取り入れてもよいでしょう。
結び方はイアンノットがおすすめですが、一般的な蝶結び(リボン結び)でも機能性に違いはありません。(結び方については、別の記事で解説します)