
「ベアフットシューズで42.195kmのフルマラソンは可能でしょうか?」という質問を受けますが、もちろん可能です。
ベアフットシューズどころか、完全な裸足でフルマラソンを完走している人たちも大勢います。
裸足でフルマラソンを完走
フルマラソンを裸足で完走している人は大勢いますが、中でも面白いエピソードを2つとベアフットランの有名人をご紹介します。
裸足で走ることで痛みが消えた女性

ソフィー・ゲッコ(Sophie Guetzko)は、局所的にはれや痛みが出る難病と診断されました。医師からは一生走れないかもしれないと診断され、それから10年間全く走っていませんでした。高校生の時は歩くのも苦労したそうです。
大学生の時、痛みが和らいできたので、10年ぶりにランニングを開始、シカゴマラソンに挑戦することにしました。
その頃、教会で礼拝中に、暑くてサンダルを脱ぐと、裸足こそが自分のあるべき姿かもしれないと感じたそうです。
それから、裸足でトレーニングを開始すると、足の痛みはなくなったそうです。足裏に水ぶくれができるときはあっても、1日で治る程度。
そして、24歳でシカゴマラソン、42.195kmを裸足で完走しました。タイムは5時間37分21秒。10年間走れなかったとは思えないですね。
ソフィーのように、裸足で走ることでむしろ痛みが無くなった、足のトラブルが消えたという人は多いです。
靴を履く人・履かない人が半々のハイチでは、靴を履かない人のほうが足のトラブルが少ないとことが報告されています(*1)。
Barefoot Caveman(裸足の原始人)

裸同然の服、そして裸足。彼の名前はレインズ(Raines)。自分のことをBarefoot Caveman(裸足の原始人)と呼びます。
本業はソフトウェアエンジニアで、南カリフォルニア在住。
写真は2017年のボストンマラソン、レインズ50歳のとき。42.195kmを裸足+ほぼ裸で完走。タイムは3時間40分43秒でした。表情からは余裕すらうかがえます。
レインズがこの格好で走り始めたのは2011年。
6年間も裸足+ほぼ裸で走り続けるだけでなく、50歳でサブ4という立派なランナーです。
有名な裸足のマラソンランナーたち
日本人では、高岡庄司氏がフルマラソンを裸足で、2時間45分を切るタイムで走ります。
米国のベアフットランコーチ、ケン・ボブ・サクストンは何度も裸足でフルマラソンを完走していますし、彼のもとにはフルマラソンを裸足で完走する人たちが大勢います。
アベベ・ビキラが1960年のローマオリンピックのマラソンを裸足で完走、金メダルに輝いたのは有名ですね。
昔の日本人はわらじで毎日40km移動している

わらじで1日40kmは当たり前だった
東海道中膝栗毛では、1日30km、40kmを歩いて移動していた様子が描かれています。これは当時の旅人としては平均的な速度だったようで、飛脚などはそれ以上の距離を移動していました。
当時の旅人の履物は草鞋(わらじ)でした。クッションはもちろんありません。草鞋より使いやすいベアフットシューズでフルマラソンを完走するくらいわけないですね。
草鞋(わらじ)はフラットな構造ですし、かかとをほぼつかないので、フォアフット接地になります(詳しくは「フォアフット接地は日本人に不向き説は間違い」で)。
また、着物の特性上、膝を大きく前に出せないので、歩幅は小さめ、膝は曲げた状態で着地していました。
東京大学の深代教授の研究で、こういったわらじの歩き方はエネルギー効率が良かったことがわかっています。
フォアフット接地、歩幅は小さめ、ひざを曲げると、まさにベアフットランと共通するフォームです。
正しいフォームで走れば、ベアフットシューズで40km以上走るのが問題ないことがわかりますね。