
「クッションの無いベアフットシューズで走り続けたら膝や足裏・足首を痛めるのでは?」
ベアフットランを経験したことにない人はほぼ全員がこう思います。
シューズメーカーや長距離指導者でも、足を痛めないようにとクッションの大切さを語ります。
しかし、クッションに意味がないことは科学的に明らかになっています。
また、統計的には1986年にクッションに効果がないことが発表されていました。発表したのはあのNIKE(ナイキ)です。
クッションに意味はないどころか、クッションがないシューズを履いたほうがランニング時のケガが少ないことが米軍の調査で明らかになっています(詳しくは後述)。
そもそも、シューズが生まれる前、江戸時代などはわらじで一日30km、飛脚は80km以上を移動していました。
足を痛めない理由は、足の構造と膝の使い方にあります。
足の構造が持つクッション

足の骨には横アーチと縦アーチのアーチ構造があります(縦アーチはさらに、外側、内側の2つに分けられます)。
アーチはばねの役割を果たしており、押しつぶされることで伸びながら衝撃を吸収します。
接地順序も大切で、小指側付け根のふくらみ(小趾球。ネコの肉球に相当する部分)から接地し、母趾球、かかとへと接地面を徐々に増やしていきます。
こうすることで、少しずつ落下速度を下げながら、最終的には足全体に体重を分散出来ます。
いきなり足全体をついてしまうと、衝撃が吸収される前に踵(かかと)で受け止めることになるので接地のダメージとエネルギーロスが大きくなってしまいます。
縄跳びで、足裏全体で着地しては次が跳べないですし、足への衝撃が非常に強いのがわかるはずです。
かかと接地での縄跳びはさらに不可能です。
衝撃を吸収する必要があるとき、人は自然に足の前側から接地しています。そして、靴にクッションが無くても縄跳びはできます。
縄を跳ぶ遊びは少なくとも平安時代から、運動として行う現在のような縄跳びは日本では1880年ごろから行われています。靴のクッションが登場するのはそれから約100年後の1979年。
では足の障害は昔のほうが多かったのでしょうか?
アメリカ足病スポーツ医学会(American Podiatric Medical Association: APMA)の元会長、Stephen M. Pribut博士は2010年ごろに、
「1970年代後半に本格的な研究が開始されて以来、アキレス腱の障害は約10%増加し、足底筋膜炎の発症率は変化がない」
と報告しています。
怪我は現代のほうが多く、さらに増加しているのが現実です。
江戸時代の東海道の旅は、1日30km以上の移動を10日以上連続して行っていました。
参勤交代では、1日約40km、荷物をもっての連日移動です。
足本来の機能を生かせば、怪我なく走り、もしくは歩き続けられることは明らかです。
シューズのクッションが機能していないことについて、詳しくは「クッションで足の怪我は減らない-研究では裸足有利で解説していますので、そちらもご覧ください。
膝のクッションを生かす
足のクッションと同じく、膝のクッションが非常に重要です。
フォアフットの話になると、接地にばかり目が行きがちですが、フォアフットにより膝を生かせるようになる点も重要です。クッションのサイズで考えれば膝のほうが高い効果が得られるのは当然です。
フォアフットで接地すると、体のほぼ真下で接地します。そのとき、前足部がかかとより下に来るようにするため膝が曲がります。かかとから接地すると、体より前で接地するため、膝が伸びます。
かかと接地の大きな問題の一つは、この膝を伸ばした状態で接地することです。
ジャンプし、膝を伸ばした状態で着地すると、膝にものすごい衝撃が来ます(怪我の恐れがあるので試さなくてもいいですよ)。なので、ジャンプの着地では誰でも膝を曲げます。走りとはジャンプなので、膝を曲げるのも当然です。
走りはジャンプであることは、歩きと比較するとわかりやすいです。
歩きと走りの違いは、
- 歩きは、片方の足が必ず地面についており、両方の足が地面につく瞬間がある。
- 走りは、片方の足しか地面につかず、両方の足が地面から離れる瞬間ある。
つまり、歩きは地面を押す行為なのに対し、走りは片足ジャンプの連続です。
ジャンプなのに着地で膝を伸ばしていることはありえ無いはずなのです。
両足の連続ジャンプをしてみましょう。必ず膝が曲がっています。
これを片足で行うので、膝は大きく曲がるのが自然です。
ベアフットシューズで怪我が減る科学的調査
米軍の調査で、ベアフットシューズのほうが怪我が少ないことが明らかになりました(*1)。
研究内容について、詳しくは「クッションで足の怪我は減らない-研究では裸足有利」で解説しますが、結果だけ書くと、
- 普通のランニングシューズとベアフットシューズで怪我の発症率を比較
- 足、足首、膝、腰など各部でベアフットシューズのほうが怪我が少なかった
- 平均すると、一般的なランニングシューズはベアフットシューズの3.4倍も怪我が多い
という結果でした。
シューズメーカーではなく、中立な米軍の調査ですので、信頼度は非常に高いです。
慣れるまでは要注意
ベアフットシューズで怪我が増える心配は不要であることはわかっていただけたと思いますが、ベアフットシューズなら怪我はしないわけではありません。
ここは誤解の無いように。
とくに初心者のうちは、足底やふくらはぎが未発達なので走りすぎには注意しましょう。
詳しくは「ベアフットランの注意点」をご覧ください。